仙台高等裁判所秋田支部 昭和31年(う)87号 判決
原判決挙示の証拠によれば優に原判示事実を認定することが出来る。即ち該証拠によれば、本件演劇即ち酒田市における前進座公演の行われた昭和二十四年十月十三日当時被告人が日本共産党の庄内地区委員長であつたこと、而して右公演に当つてはその催物の主催者の届出がなかつたこと、而して原判決の理由中に記載しある如く右演劇の立看板及び入場券等には何れも主催者日本共産党庄内地区委員会と表示されていることが明らかである。当時の山形県税賦課徴収条例によれば本件の如き演劇の入場税の特別徴収義務者は該催物の主催者であり、且つその主催者はその氏名又は名称、住所等を申告することに規定されているのであるから本来ならば何人が主催者であるかは当事者の申告により決定しうべきところ本件においては該方法によつてはこれを決定しえないのであつて、結局認定の権限ある者が各種の資料、証拠等により決定する外はない。しかるところ原審においてはその挙示の証拠により且つ原判決において説示せる理由によつて被告人を主催者と認定しているのであるが該認定には何等違法と認むべき点なく洵に相当である。而して記録を精査するも原判決には事実誤認を窺うべき事由等は到底これを見出しえない。
(裁判長裁判官 松村美佐男 裁判官 大島雷三 裁判官 松本晃平)